全てはひと続きになっている

奈良から軽井沢に来ました。

「足の向く方へ」 第五集発刊(はっかん)に寄(よ)せて

冬卒業を目前にした今日。「足の向く方へ」最後の出版、第五集がここに発刊されました。この一年の集大成です。一年間の「作家の時間」を終えて、みんなの中で、何か変化や成長はありましたか?好きなことを、好きなだけ、好きなように書くという経験は、きっとはじめてのことだったと思います。そして、それを出版という形で、いろんな人に読んでもらい、その感想をもらうということもあまりなかったのではないでしょうか。その中で、書くことが得意になったり、好きになったり、書くことに対する考え方が変わったりしたのであれば、それは、うれしいことです。逆に、この一年では、あまり変わらなかったという人がいてもいいと思います。これから先の長い人生で、みんなはさまざまな場面で「書く」ということと関わって生きていくことになります。その中で、この一年の「作家の時間」の経験が、何かのきっかけになっていたり、ヒントになっていたらいいなあと思います。

 

「何のために書くのか?」という問いを持ったことはありますか?最後に、この問いについてのぼくの考えをここに記しておきたいと思います。ぼくは、「作家の時間」に取り組むに当たって、常にこの問いを持ちながら、みんなと歩んできました。時代は、“国民総情報発信者”時代です。老若男女みんながスマホを所持し、多種多様なSNSやあらゆる情報メディアが普及するこの時代は、全国民がいつでもどこでも、自分のことを発信することができ、それをだれでも受信することができます。この流れは、さらに勢いを増すでしょう。その中で、自分自身を表現すること、つまり、発信することで、「自分のことを知ってもらう」機会が増えていきます。極論、知られてないことは、存在していないのと同じです。さらに言えば、高校大学受験でも、就職活動でも、よくわからない人のことを合格させるわけにはいかないし、何かやろうと思ったときに仲間になってもらえることもないでしょう。だから、「何のために書くのか?」という問いの答えの一つとして、「自分のことを知ってもらう」ということにあると思います。もちろん「書くこと」だけではなく、今では、「YouTube」「TikTok(ティックトック)」のような動画での発信方法もあります。実は、ぼく自身も、「書くこと」によって発信し続けた結果、自分に興味を持ってもらい、4月からのチャレンジの機会をいただきました。みなさんも、「書くこと」を通して、自分自身を表現し、自分のことを知ってもらい、よりよい人生を歩んでいってほしいなと思います。

 

それでは、これで「作家の時間」を終わります。これからも、よい作家人生を…。

 

二0一九年三月十八日